目前に広がる白い砂浜に映える海の青。

砂漠に囲まれた街に住を置く者なら大概がこうやって目を奪われるであろうこの風景に。

はしゃぐ年少組。

後ろでは王女と空賊。

一行は此処で一時の休憩を。







「二人共元気だねー…」


そう呆れた様に呟いたのは木陰の下、フランの横で地に腰を下ろす。


「ふふ…も混ざってきたらどうかしら?」
「無理。足休めたいもん」


モスフォーラ山地を抜け、このハンターズ・キャンプに辿り着く迄に砂浜を通った一行。
慣れない足場にヒールの高い靴を履くフランとは他の仲間よりも足への負担がかかる。
足の裏がズキズキと痛むその状態ではしゃげる元気が何処に有ると言うのか。


「あのさー…」
「?」


何時の間にかブーツを脱いだその足を伸ばして、遊ぶ二人とそれを見守るバッシュを遠くを見つめる様な目で見ていたがフランに問い掛ける。
中々その先を続けない彼女にフランは陽の光を反射し煌く海から視線を向けて首を傾げる。


「バッシュってさ、お父さんみたいな感じだよね」
「…あの二人の前ではそうね。でも…」
「…でも?」


はでも、という台詞に三人に向けていた視線を横へ向け、立った儘のフランを見上げる。


「アナタの前では違うわよ」
「まったまたぁ…そうかな?」
「えぇ…。、行ってらっしゃい」
「え?」


それ迄に向けられていたフランの視線は砂浜の方へと向けられる。
その先には此方を見ているバッシュが来い、と言わんばかりの視線を彼女へと送っていた。


「んー…行って来ます」


立ち上がりながらフランにそう告げるとブーツを脱いだ儘の足でバッシュの元へと砂浜を歩く。
然程距離も無い為、直ぐにバッシュの近くに寄ったは未だはしゃぎ海水を手に掬っては周囲に散らすヴァンとパンネロに一度視線を向け、それからバッシュに視線を戻す。


「足が痛いのだろう?」
「うん…やっぱバレちゃった?」
「歩き方を見れば。少し海水に足を浸すと良い…少しはマシになると思うが」


ホント?と目で訴えると優しさを湛えた表情で頷くバッシュには寄せる波へと足を向け、
足甲迄をその海水へと浸した。


「わー…冷たくて気持ち良い」
「だろう?」


それ迄鈍く痛んでいた足がスッと軽くなる様な感覚に嬉しくなったは自然と表情が緩んだ。


「有難う、バッシュ」


微笑を浮かべながら礼を述べるの瞳に映ったのは優しく微笑むバッシュの顔と自分を映すブルーグレイの瞳。
何故か早鐘を打つ自分の鼓動を悟られたくなく、相手から自分の足へと視線を落とす。


「礼を言われる程のモノでもない。…君は無理をするから、こういう休息も必要なだけだ」


…バレてたか。
そう心の中で呟くも、未だ早鐘を打つ鼓動の原因に確信出来ずにいるは再びバッシュへと視線を向ける。


「……っ…」


何で向けたんだろう、と思う頃には既に遅く。
先程と変わらず優しさを湛えるその瞳に捕らえられて、逸らせない。


「そろそろ行こう」


頷き浸していた足を砂浜に下ろすと痛みは消え。
逆に自分の中で熱く疼く様に芽生えた感情に自覚を持たせ、優しい青に落ちた気持ちは加速する。


「…どうしよう…」


誰に聞かせる訳でも無く。
小さく呟いたその言葉は波の音に混じり、自分の中だけで響いた。






fin.