遠くからでも一目で解る。

金色の翼を持つ人。


聖域に居る誰もが敬愛する存在。

そんな彼からの愛情を受ける私は、世界一幸せと言っても良いのでしょうか?





「!」
「アイオロス、お帰りなさい…!」


一ヶ月振りに見る彼は、少し日に焼けたみたいで少し赤さを残した肌。
それ以外は変わり無く、穏やかな笑みで私を抱き締めてくれる。


「アイオロス…ちょっと痛い…」
「ん?あぁ、済まない…」


苦笑いを浮かべて、アイオロスは私の身体を抱き締める腕を緩める。
抱き締められるのは嬉しいけど、彼はまだ聖衣を纏った儘。
強く抱き締められると、所々肌に当たって痛い。


「もう少し待っていてくれ。シャワーを浴びてくるから」
「うん、じゃあご飯の支度して待っているね」


部屋の奥へと向う彼の背中には二枚の金色の翼。
ボーっと其れを見ていると、何だか彼が今にも飛び立ってしまいそうで。


「……?」
「アイオロス……」


気付けば私の身体は彼に抱き付いていた。
聖衣が当たって痛い、とか考える余裕なんて無くて。
唯、自分の目の前から居なくならない様にと、掴まえるので必死で。


「居なくならないで……」
「…何を言い出すかと思えば…」


くるりとアイオロスが向き直り、私の身体を包み込む。
先程よりも優しく、慈しむ様に。


「をもう置いて行ったりはしない…約束しよう」
「……うん」
「…不安にさせて済まないな」


そう困った様な笑みを浮かべたアイオロスの唇が降りて来る。
瞼に、鼻先に、頬に…そして唇に。

止め処なく溢れんばかりの優しさと愛しさが伝わってくる。


「、一緒に入ろうか?」
「えっ……でも…」
「今日はその儘を抱きたい……良いだろう?」


優しい笑みで、耳元で低く囁かれたら…もう拒む理由なんて無い。


「…うん…優しく、ね?」



金色の翼と腕に包まれる私は幸せなのでしょう。
与えられる悦びを彼にも分けてあげて、共に果てて。

二度と手放したくない大切な人と共に歩める道を照らして…─。




fin.