地平線の彼方まで続く海原と眩しい程の白い砂浜。 引いては寄せる波の様に、感情が揺り動き出す。 二年の歳月を経て、帝都へと…─ ─Chapter:U ─Empire territory 「ふぅ…」 一行はハンターズ・キャンプへと辿り着いていた。 海という物が珍しいのか、ヴァンとパンネロは海水に足を浸しはしゃぎ遊ぶ。 其れを見守るバッシュ、そしての隣で休むフラン。 バルフレアとアーシェは他から離れた場所で、話し込んでいる。 (何話してるんだろ…) は気になっていた。 二人が話す内容、そしてアーシェの気持ちに。 段々と刺々しかった雰囲気が和らいでゆくアーシェのその瞳は…。 (やっぱ好き、なのかなぁ…) も己では気付かぬ程に、バルフレアへ特別な感情を抱いている。 何度か彼の優しさやその行為に躊躇いながらも、その心には未だ消せぬ人物が居たからであって。 素直に受け止める事も返す事も出来ずにいるのがその証拠。 「どうしたの?」 独り思い耽っていると、隣のフランが問いかける。 ハッとした時にはフランに表情を覗き込まれ、は苦笑いを浮かべていた。 「んー…色々考えてたの」 「そう……」 二人の間に沈黙が流れる。 ヴァンとパンネロのはしゃぐ声が何処か遠くに聞こえ、はブーツを脱いだ素足をおもむろに伸ばした。 「…迷いが有る様ね」 「…迷い?」 「…貴方も、彼も…其れを断ち切れる事が出来れば…」 フランの言葉が一度、途切れる。 静かに空気を吸い込み、再度其の唇から言葉が紡がれた。 「…素直になれる事が出来るわ」 「…素直…?」 の脳内には疑問符が飛び交う。 フランの言葉の意味を理解出来なく、眉間を寄せ考え込む。 「…その内、解る時が来るわ」 フランが静かに語った言葉は、に静かに伝わった─。 陽が傾き、一行は気前の良いハンターにテントを一つ借りる事が出来た。 其れを砂浜から少々離れた、地盤がしっかりしている所へと建てる。 然程大きくも無いそのテントは女性陣が中で休む事となり、男三人は外で休む事となった。 食料の調達も儘ならなく、持ち合わせていた保存食で多少の食欲を満たす。 ヴァンが海で魚を数匹捕まえたという事も有って、焚き火で焼いた魚を皆で分け合う。 食事が終われば、一番はしゃいでいたヴァンとパンネロは直ぐに眠りへとついた。 フランとアーシェもテントへと戻り、も其れに続く。 テントの中へと潜ると、疲れが溜まっていたのかアーシェとフランは直ぐに寝付いてしまった。 特に目立った会話も無く、も横になると睡魔が襲って来ない身体を無理矢理に休める様に瞼を閉じた。 (…寝れないなぁ…) 生憎、時計等持ち合わせていない。 瞼を閉じて、どれ位が経ったのか解らない。 テントの外は、絶えず焚き火の明るさが灯っている。 きっとバッシュとバルフレアが交代で休んでいるのであろう。 は他の三人を起こさぬ様にそっと起き上がるとテントの外へと出た。 「…どうした?」 焚き火の近くにはヴァンとバルフレアが休み、バッシュが枯れ枝を足していた。 に気付いたバッシュは驚くが、直ぐに自分の隣を空け其処へ座る事を促した。 「ん…ちょっと寝れなくて」 「そうか…慣れないか?」 「大丈夫だよ…それよりバッシュは休んでるの?」 然程…とバッシュが苦笑いを浮かべる。 は困った様に笑うと、バッシュが持っていた枯れ木を取り上げる。 「見てるから良いよ、バッシュも休んで?」 「其れは無理な頼みだな」 「大丈夫…というかバッシュも休まないと…」 「…そうだな…」 が続けようとした言葉を悟ったのか、バッシュが先に折れた。 持っていた枯れ木をへと渡す。 「何か有ったら直ぐに起こしてくれ」 「了解」 バッシュは座った儘の体勢で俯き瞼を閉じる。 やはり将軍職であった者、休める時は休む事が出来るのは流石というべきであろう。 火が弱くなる度に、枯れ木を足し火を絶やさない様に繰り返す。 流石に燃える火と睨めっこを続けていたは眠気を覚えてきた。 「…眠いなら起こせよ」 低い声が呟かれる。 バルフレアへと視線を向ければ、何時起きたのか解らぬがしっかりと起きていた。 「寄越せ。そして寝ろ」 「…ん…もう大丈夫なの?」 「平気だ」 の傍に有った枯れ木を取ると、顎でテントを示す。 戻れ、という合図なのであろう、は特に言う事も無くテントへと戻った。 静かにテントへと戻り、その身体を横たえると直ぐに睡魔が襲い掛かって来た。 瞼を閉じ、眠りへとついた。 「起きろー!」 ヴァンの声で意識が覚醒する。 起き上がり、身支度を手早く済ますとテントの外へと出る。 後からアーシェとパンネロも出てくる。フランは先に起きていた様であった。 「お早う、ヴァン」 は起こしてくれたヴァンへと挨拶をすると、組んだ両手を空へと向け伸びをする。 バルフレアとバッシュは空になったテントを解体すると、持ち主の元へと返しに向かった。 残っている者は直ぐに旅立つ用意をし、二人が戻るのを待った。 「じゃあ行くか…ソーヘンの地下宮殿を経由して行くぞ」 バルフレアが言い、ハンターズキャンプを後にする。 バトルメンバーは昨日と変わらず、を含め女性陣はリザーブの位置。 ぽっかりと口を開く洞窟が見えると、中へと迷わず入るバルフレアに続いて他のメンバーも中へと進む。 帝都はこの洞窟の奥先に。 一行は確実に、近付きつつあった…─