静かな部屋に暖かい日差し。 二人を包む空間は穏やかな時間。 横で柔らかなクッションに凭れたシシから繰り返される静かな呼吸が程良くまどろんでくれさせる。 「…ふふっ…」 普段はもの悲しげな瞳を瞼で覆ってしまえば、人を寄せ付けない様に纏う雰囲気すら穏やかになる。 はシシの表情を見つめ静かに笑う。 ここ暫く、こんな穏やかな時間は無かったから尚更嬉しさが沸き起こるのであろう。 「ふぁ……」 から小さい欠伸が漏れる。 噛み殺してみたものの、やはり穏やかながら手持ち無沙汰なこの時間は睡魔が襲って来る。 「……?」 「あ、御免…起こしちゃった?」 微かに骨張った指先が動くと閉じられた瞼がゆっくりと開けられてゆく。 は苦笑を浮かべながらもシシを見上げ右手を彼の頬へと伸ばす。 「もう少し寝る…?」 そっと触れた頬は寝起きの為かほんのりと温かく、触れているだけでも心地良い感触に襲われる。 の問いにシシは否定を首を振る事で示す。 もう覚醒したシシに柔く笑み掛けたは突如の浮遊感に瞬きを繰り返す。 「…シシ?」 再度座った場所はシシの膝の上。 横向きに座ったとはいえ、顔を少し上に上げるだけでシシの深い瞳と視線が絡む。 「シ……」 重くないの?とか何で?という問いはシシの呼吸によって遮られた。 重ねられた唇は微かに乾いていて、それを潤わす様にがチロリと覗かせた舌で舐めるとその儘其れを絡め取られる。 優しい口付け。 それは僅かに呼吸をする隙間を開けていてくれていながらも、愛情をきちんと感じられる程。 「ん……」 何度か角度を変えられ、唇が離れるとはぼうっとした瞳でシシを見つめる。 ─そういえば口付けすら久し振り…。 久々に受けた愛情の口付けは優しかった。 「……今度はが寝ると良い…」 大きな掌がの頭を優しく胸へと抱き寄せ、呟く。 喋る事の少ないシシの低く穏やかな声に驚き、は顔を上げる。 「……余り寝ていないと聞いた…」 「……うん…」 「…無理をするな…」 温かい指先が己の髪を梳き撫でる感触に、押し殺した睡魔が再度を襲う。 は有難う、と小さく呟き瞼を閉じれば直ぐに夢へと落ちる。 シシはの繰り返される小さな呼吸と寝顔に安堵の息を静かに吐くと、己もまた瞼を閉じた。 fin.