『じゃあ出掛けて来る』 そう言ったのは夕方前の話。 今時計の針は十一時五十七分。 「も〜…日付変わっちゃうよ…」 数分後の明日はシュラの誕生日。 恋人であるに当日。 前日は彼と親しいデスマスクに譲り合う、と密かに話し合いをしていた。 「ちゃんと時間迄には帰すって言ってたのに…」 今日はシュラとデスマスクは共に街へ繰り出して酒を呑んで…とやっている筈だ。 しかし、日付が変わるのも時間の問題。 秒針は確実に進んでいる。 ふて寝をしてしまいたい衝動に駆られるが、やはり折角の記念日。 にだって遂げたい事が有る。 「…」 待ち詫びた声。 は振り返り、そのまま青年へと抱き付く。 「ただいま…遅くなってすまなかったな」 「お帰りなさい、シュラ」 帰りの挨拶の様に、軽い口付けを高い音を立て交わし合う。 どれだけ呑んで来たのだろうか。 シュラの唇からは酒の匂いがする。 見れば顔はほんのり赤く、相当呑んで来た事が窺い見れる。 時計を見れば日付が変わるまで後五秒。 ……3、2、1…… 「……誕生日おめでとう、シュラ」 「あぁ…有難う…」 誰よりも早く。 誰よりも近く。 この言葉が言いたくて、この言葉が聞きたくて。 頬を緩め笑うにつられる様にシュラも微笑う。 特別なモノなど何も必要無い、ささやかな時間だが、要は気持ちの問題だ。 「シュラ…?」 珍しく、素直に微笑むシュラを見上げては首を傾げる。 シュラは微笑を色気を含んだ笑みに変えると目の前の華奢な身体を抱き上げ、己の寝室へと向かう。 「シュ……シュラ?」 「先ずはから頂こうか」 朝になれば、色々と用意してあるんだろう?とシュラは問い掛けは素直に頷いてしまった後にはっとする。 「ちょ…何で知ってるの?!」 「お前が相談した奴に文句を言う事だな」 酔いも手伝ってか笑いながらシュラはからかう。 しかし、ベッドに寝かされを辿る指先は優しく、何時もより求める事を表している。 其れに観念した様に息を一つ吐いたは。 「もう…これ以上私を貰ってどうするの?」 其れがシュラをどんなに煽った事かは、は身をもって知る事となった―。 fin.